うつ病と向き合いながら働くことに不安を感じている方にとって、自分に合った仕事や職場環境を見つけることはとても重要です。
しかし「自分に合った仕事が見つけられない」「就職活動を進める気にならない」といった方も少なくありません。
この記事では、数多くの就労支援を行ってきたアビリティーズジャスコが、うつ病の人に向いている仕事や働き方について詳しく解説します。
また、うつ病の方が就職活動を始める時のポイントや、活用できる支援制度についても紹介します。
うつ病と向き合いながら自分に合った仕事を見つけるためにも、ぜひご参考ください。
うつ病の人に向いてる仕事・働き方5選
うつ病の人に向いてる仕事、心身の負担を軽減できる ・働き方を5つご紹介します。
うつ病のときは「焦ること」や「周囲のペースに合わせること」が症状を悪化させる要因になります。
無理をせず、落ち着いて取り組める仕事を選ぶことが回復への一歩です。
それぞれの働き方で具体的な職種の例も紹介しながら、詳しく解説していきます。
① リモート・在宅ワークが可能な仕事
うつ病の人には、通勤の精神的ストレスを軽減できるリモート・在宅ワークが可能な仕事が向いています。
リモート・在宅で取り組みやすい職種例は、以下の通りです。具体的な職種例です。
- データ入力
- 一般事務・庶務
- プログラマー
- WEBライター
- WEBデザイナー
会社に出勤して働く場合、コミュニケーションに加えて、身だしなみなどにも気を配る必要があり、うつ病の方にとっては精神的な負担が大きくなりがちです。
その点、リモート・在宅ワークは通勤や人間関係によるストレスを避けつつ、自分のペースで働けるという大きなメリットがあります。
さらに、部屋の明るさや温度などを自分好みに整えることで、心身ともに落ち着いた状態で業務に集中しやすくなります。
安心できる環境で働けることは、体調の安定にもつながるでしょう。
② フレックスタイム制など勤務形態の自由度が高い仕事
うつ病の人には、フレックスタイム制など勤務形態の自由度が高い仕事がおすすめです。
自由度が高い勤務形態の例は、以下の通りです。
勤務形態 | 内容 |
---|---|
在宅ワーク(リモートワーク) | 自宅で仕事ができる |
フレックスタイム制 | 仕事の開始・終了時間を自分で自由に決められる |
短時間勤務 | 1日の所定労働時間を短縮する働き方 |
例えば、フレックスタイム制を導入している職場では、仕事の開始・終了時間を自分で調整できるため、体調に合わせて働き始められます。
短時間勤務なら、数時間程度の無理のない勤務時間からスタートし、体調が整えば徐々に勤務時間を延ばすことも可能です。
自由度の高い勤務形態を多く導入している職種は、以下の通りです。
- データ入力
- 一般事務・庶務
- WEBライター
- WEBデザイナー
- カスタマーサポート(チャット・メール対応)
最近では、在宅ワークとフレックスタイム制・短時間勤務を組み合わせている企業も増えています。
うつ病の方にとっては、上記のような柔軟な働き方ができる環境が心身の負担を軽減するポイントです。
③ 人との連携作業が少ない仕事
うつ病の人は、対人コミュニケーションのストレスが軽減できる人との連携作業が少ない仕事が向いています。
人との連携作業が少ない職種例は、以下の通りです。
- データ入力
- WEBライター
- 清掃スタッフ(施設・オフィスなど)
- 倉庫内軽作業(ピッキング・仕分けなど)
- 画像・動画のチェック作業(モニタリング)
心の調子が不安定なときは、他人に気を遣ったり、会話に神経を使うことが大きな負担になっていることがあります。
人との連携が少ない仕事は、一人で集中して取り組める作業が中心のため、個人の業務内容がはっきりしている傾向があります。
作業中に話しかけられて中断することも少なく、自分のペースで進めやすい点も魅力です。
④ 自分のペースで進められる仕事
うつ病の方には、締め切りやノルマによるストレスが少なく自分のペースで進められる仕事が向いています。
自分のペースで進められる職種例は、以下の通りです。
- データ入力
- 音声文字起こし
- アンケート・レビュー投稿業務
- イラスト制作・デザイン作業
- ハンドメイド制作・内職
上記のような仕事は一つひとつの作業に集中できるため、短期的な達成感を得やすく、気持ちの安定にもつながるでしょう。
心身の波を抱えながらも働き続けるためには、その日のコンディションに合わせて調節できる働き方が重要です。
⑤ ルーティンワーク
うつ病の方には、ルーティンワークのような決まった手順で進める仕事が向いています。
ルーティンワークとは、同じ作業を繰り返したり、決められた順番で行う業務のことを指します。
ルーティンワークが多い職種例は、以下の通りです。
- データ入力
- 郵便物の仕分け
- 清掃スタッフ
- 倉庫内ピッキング作業
- 書類スキャン・ファイリング業務
ルーティンワークはマニュアルに沿って進めるものが多く、次に取り組む作業が明確なため、業務全体の見通しを立てやすいのが特徴です。
また、作業の流れが決まっていることで イレギュラーな対応が発生しにくいことから、体調に波がある方でも落ち着いて働きやすい傾向があります。
業務のゴールがわかりやすく、進み具合を把握しやすい点も安心材料のひとつです。自分のやるべきことが明確になることで、負担の軽減にもつながるでしょう。
うつ病の人に向いてない仕事の特徴
うつ病の人に向いていない仕事は、主に以下のような特徴があります。
具体的な職種の例も紹介しながら、それぞれの理由を解説していきます。
長時間労働が必要な仕事
うつ病の人にとって、長時間労働が必要な仕事は避けたほうがよい働き方です。
長時間勤務は心身ともに負荷が大きく、健康な人であっても集中力の低下や事故・けがのリスクを高めるとされています。
うつ病の状態ではその影響がさらに出やすく、症状の悪化や体調不良に繋がりやすいです。
以下のような仕事は、長時間労働や不規則な勤務が起こりやすいので注意しましょう。
- 飲食業
- 建設・土木作業員
- 営業職(外回り・ノルマがある)
うつ病の方の仕事選びで大切なのは、今の自分にできる範囲で無理のない働き方を選ぶことです。
最初は労働時間を控えめに設定し、体調の様子を見ながら必要に応じて徐々に増やすとよいでしょう。
大きな責任が求められる仕事
うつ病の人にとって、大きな責任が求められる仕事は避けたほうがよい働き方です。
責任の重い仕事には、厳しい期日やノルマが課されることが多く、精神的なプレッシャーを感じる場面が増えやすくなります。
気分の波や体調の不安定さを抱えながら、毎日同じ水準の成果を求められる環境では、心身の負担が大きくなりやすいです。
以下のような仕事は、責任が求められるので注意しましょう。
- 医療・介護現場
- 営業職(成果や数字に追われる仕事)
- 教育職(成長や人格形成に影響あり)
うつ病のある方は、自分のペースに合わせて働けることや、業務量の調整がしやすい職場
を選びましょう。
うつ病の人が仕事探しをする際の注意点・確認すべきこと
うつ病の人が仕事探しをする際の注意点や確認すべきことを5つ紹介します。
うつ病の人は、継続して働ける環境かどうかを意識することが大切です。
仕事選びの前に、以下の5つのポイントを確認しておきましょう。
専門機関を受診し医師に相談する
うつ病の人が仕事を探す際は、専門機関を受診し医師に相談することが大切です。
うつ病は調子に波がある病気のため、自分では良くなったと感じても自己判断で動き出すことで症状が悪化する可能性があります。
無理なく仕事探しを進めるためにも、専門医の客観的な意見をもとに行動するようにしましょう。
また、医師に相談すると障害者手帳の取得についてもアドバイスを受けられます。
手帳があると障害者雇用枠での就労が可能となり、働き方の選択肢が広がります。
通院が続けられる仕事かどうか
うつ病の人が仕事を探す際は、通院が無理なく続けられるかどうかを基準のひとつにすることが大切です。
「忙しくて病院に行けない」と自己判断で通院をやめてしまうと、症状が悪化するリスクが高まります。
結果的に就労の継続も難しくなる恐れがあるため、通院しやすい働き方や勤務条件を事前に確認しておくことが重要です。
例えば、フレックスタイム制や時短勤務が可能な職場であれば、診察時間に合わせてスケジュールを調整しやすくなります。
職場と病院、自宅との距離も含めて、無理なく通院できる条件が整っているかをよく見極めましょう。
雇用条件に不安がないか
うつ病の人が仕事を探す際は、雇用条件に不安がないか確認しておきましょう。
特に確認しておきたい点は、以下の通りです。
- 給料
- 残業の有無
- 通勤手段
- 休日の日数
など
上記の雇用条件は、うつ病に関わらず心身の安定や生活の質に大きく関わる重要な要素です。
特にうつ病の原因となった働き方や職場環境がある場合、それ以上に厳しくなければ問題ないと判断してしまうケースがあります。
しかし、雇用条件を十分に見極めないまま就職すると、生活に必要な収入が確保できなかったり、業務内容が大きな負担となることも。
仕事を選ぶ際は、業務内容だけでなく雇用条件も確認し、不明点や不安なことは面接時に確認しましょう。
職場環境が自分に合っているか
うつ病の方が仕事を探す際は、職場環境が自分に合っているかを確認することが重要です。
主に以下のような環境がどうなっているか確認しましょう。
- オフィスの場所や通勤時間
- 通勤経路の混雑状況
- 静かな環境か、適度に人の出入りがあるか
- オフィスのレイアウトや設備、照明、空調
求人情報だけでなく、企業の口コミなどから社風や雰囲気を調べておくのもひとつの方法です。また、面接や職場見学の機会があれば、実際の空間や働いている人の様子をチェックしておきましょう。
どんな環境が働きやすいかは人それぞれなので、自分が落ち着いて過ごせるかどうか、しっかり見極めることが大切です。
福利厚生が充実しているか
うつ病の方が仕事を探す際には、福利厚生の充実度も確認しましょう。
社会保険などの「法定福利厚生」に加え、育児・介護休暇、住宅補助などの「法定外福利厚生」は企業ごとに異なります。
なかでも、体調の変化に合わせて働き方を調整しやすい職場では、以下のような制度が整っていることが多く見られます。
- 有給休暇の取得推進制度
- 休職制度(傷病休暇など)
- リフレッシュ休暇・メンタルヘルス休暇
- 雇用形態の変更制度
- 産業医やカウンセリング窓口の設置
制度の有無だけでなく、「実際に利用しやすい雰囲気かどうか」も職場選びの大切な視点です。
求人情報だけでは分かりにくいため、面接や職場見学の機会に利用実績や社員の声を確認しておくと、自分に合った職場を見つけやすくなります。
また、相談窓口が整備されている企業は、障害のある方を含めた従業員への理解や、心身の健康に対する配慮がある職場といえるでしょう。
たとえ制度を利用しなかったとしても、安心感につながる環境が整っているかどうかは重要な要素です。
うつ病の人が働きやすい職場を見つけるためのポイント
うつ病の人が自分に合った職場を見つけるには、以下のような支援制度や働き方の選択肢を活かすことがポイントです。
以下では、それぞれの制度について詳しく解説していきます。
上記の制度を上手に活用し、自分に合った働き方を見つけましょう。
ポイント① 就労支援サービスを活用する
うつ病の人が働きやすい職場を見つけるには、就労支援サービスの活用がおすすめです。
就労支援サービスとは、障害のある方や働くことに不安がある方を対象に、就職や社会復帰を支援する制度です。
ビジネスマナーや面接練習など実務的なプログラムを通じて、段階的に働く力を養いつつ、求人を紹介してもらえます。
現在では様々な支援機関があり、例えば以下のようなサービスが存在します。
- アビリティーズジャスコ
- リエンゲージメント
- LITALICOワークス
- ミラトレ
- welbe
就労支援サービスを検討する際は、ホームページに掲載されている利用者の声をチェックするのがおすすめです。
アビリティーズジャスコでは、サービスを利用した方のコメントや、実際に就職した職種を公開しています。
【立川センター】就労事例(事務職)アビリティーズジャスコで学んだ言葉遣い、マナーを忘れずに、これからは社会人ライフを思いっきり楽しみたいと思います。
引用元:障がい者の就労移行支援 |【立川センター】就労事例(事務)
【古川センター】就労事例(調理補助)アビリティーズジャスコ古川センターの訓練を通じて「復職から転職に切り替えて自分に合う働き方」に出会うことができました。
引用元:障がい者の就労移行支援 |【古川センター】就労事例Sさん(調理補助)
【立川センター】就労事例(事務補助)どういう結果になろうとも、必ず努力したあとは残ります。 あきらめずにやるということは、新しい道につながる事なのだなと思います。
引用元:障がい者の就労移行支援 | 【立川センター】就労事例(事務補助)
同じようにうつ病などの障害を抱えた人が、どのような働き方を選んだのか知ることで、自分に合った働き方を考えるヒントになるでしょう。
実際の声に目を通すことで、サービスの雰囲気やサポート内容も具体的にイメージしやすくなるため、ぜひご覧ください。
ポイント② 障がい者雇用枠を活用する
うつ病の方が働きやすい職場を探す際は、企業が障がいのある人を対象に設けている障がい者雇用枠の活用も検討してみましょう。
障がい者雇用枠で就職する場合、最初からうつ病であることを伝えたうえでの入社となるため、体調への配慮や業務調整など、職場の理解を得やすい傾向があります。自分のペースで無理なく働ける環境が期待できる点もメリットです。
また、地域や企業によって違いはありますが、一般採用枠に比べて就職のハードルが比較的低い場合があります。
募集される職種は限定されることもあるため、事前に仕事内容や働き方を確認しておくことが大切です。
障がい者雇用枠での応募には障害者手帳が必要なので、精神科や心療内科で相談して取得しましょう。
うつ病の人が活用できる支援制度と相談窓口
うつ病の方が体調や状況に合った働き方を見つけるには、以下のような支援制度や相談窓口を活用しましょう。
うつ病の方が働きやすい仕事を見つけるには、一人で抱え込まず専門機関のサポートを受けることが近道です。
以下では、うつ病の人が利用できる支援制度と相談窓口について詳しく説明します。
就労移行支援事業所
就労移行支援事業所は、うつ病などを抱える方を対象に一般企業での安定した就労を目指すためのサポートを行っている福祉サービスです。
通所型で提供されており、週に数日通うことで、少しずつ働く体力や生活リズムを整えていく仕組みになっています。
主な支援内容には、ビジネスマナーやパソコン操作といった実践的なスキルの習得、職場体験、生活面の支援などが含まれます。
提供されるプログラムは事業所ごとに異なりますが、アビリティーズジャスコでは、以下のようなサポートを行っています。
- 就労支援プラン(個別支援計画)の作成
- 就労移行支援事業の受給手続きサポート
- 働くうえで必要なスキル訓練
- 職業訓練
- 就職サポート
- 企業実習
アビリティーズジャスコでは、相談を通じて一人ひとりに合った支援プランを作成し、希望や体調に応じたプログラムにご参加いただけます。
実習を通じて職場との相性を確認できるため、就職後のミスマッチを防ぎやすいのも特徴です。
就職後も定期的な相談や職場でのトラブル対応など、アフターフォローを行い、長く働き続けられる環境を用意しています。
「うつ病で自分に合った仕事が見つけられるか不安…」という方は、ぜひアビリティーズジャスコの就労支援サービスをご利用ください。
障害者就業・生活支援センター
障害者就業・生活支援センターとは、障害のある人の就労と日常生活の両方を支えるために設けられた、地域に根ざした総合的な支援機関です。
仕事の探し方や続け方に関する相談はもちろん、体調管理や生活リズムの整え方、福祉サービスの利用方法に関するアドバイスが受けられます。
必要に応じて、ハローワークや福祉事業所、医療機関などと連携しながらサポートしてくれる点も特徴です。
就職活動中の人はもちろん、すでに働いているけど不安を抱えている人にも利用しやすく、幅広い支援が用意されています。
ハローワークの専門窓口
ハローワークとは、国が運営する公共の就労支援機関で、誰でも無料で職業相談や求人紹介を利用できる場所です。
うつ病の人も対象となっており、障害のある方向けの専門窓口を活用すれば、体調や希望に応じた就職活動を進めやすくなります。
専門窓口では、うつ病の状態に配慮した働き方の提案をはじめ、履歴書の書き方や面接対策といった実践的な支援も行われています。
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また、求人検索では障害者雇用枠にも対応しているので、ぜひ活用しましょう。
転職エージェント(障害者雇用向け)
転職エージェントとは、就職や転職を希望する人と企業の間に立ち、求人紹介や選考対策をサポートしてくれる民間のサービスです。
- LITALICO仕事ナビ
- dodaチャレンジ
- atGP(アットジーピー)
- 障害者雇用バンク
- ランスタッドチャレンジド
障害者雇用に特化したエージェントでは、障害の特性を理解した専任アドバイザーが在籍しており、体調や状況に応じた働き方を相談できます。また、企業に対して、業務内容の再調整を交渉してくれる場合もあります。
就労移行支援事業所の紹介や、キャリアプランに沿ったアドバイスを受けながら安心して選考に進める点が魅力です。
うつ病と向き合いながら自分のペースで続けられる仕事選びをしよう
うつ病はすぐに回復するものではないからこそ、今の自分にできることを焦らず見つけていくことが大切です。
仕事選びに悩んでいる場合は一人で抱え込まず、まずは専門機関へ相談しましょう。
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