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適応障害に配慮した仕事選びのポイント

職場や環境の変化に強いストレスを感じてしまう適応障害ですが、心身の不調によって、仕事を続けることが難しくなるケースも少なくありません。

「もう働けないのでは」と不安に思う方もいるかもしれませんが、働く環境や業務内容によって、負担を減らしながら自分らしく働けます。

本記事では、適応障害の方に向いている仕事の特徴や注意点について解説します。

記事の最後には、適応障害の方が利用できる就労支援制度も紹介します。

支援制度を活用することで、専門スタッフと一緒に方向性を整理しながら、就職・活動の選択肢を広げることができるので、ぜひ参考にしてください。

目次

適応障害でも長く働き続けられる仕事の特徴

適応障害でも長く働き続けやすい仕事には、いくつかの共通した特徴があります。

適応障害は、特定のストレスが原因で心身に不調をきたし、日常生活や仕事に支障をきたす状態です。

ストレスの原因や発症のタイミングが明確なことが多く、環境を整えることで改善できる場合があります。

以下では自分らしく働ける仕事の特徴をそれぞれ詳しく解説していきます。

密な人間関係が求められない

人とのコミュニケーションにストレスを感じやすい適応障害のある方には、密な人間関係が求められない仕事を選びましょう。

職場にはさまざまな価値観や考え方を持った人がいるため、人間関係に悩みやストレスを感じる方も少なくありません。

特に適応障害のある方は、以下のように考えてしまいコミュニケーションの中で疲れを感じやすい傾向にあります。

  • 自分より相手を優先してしまう
  • 思ったことが言えない
  • 人と比べて落ち込んでしまう

人と一定の距離感を保てる職場環境は、ストレスを軽減しながら長く働くためのポイントです。

厳しい期日やノルマがない

業務の目標に対して強いプレッシャーを感じやすい適応障害の方は、厳しい期日やノルマがない仕事を選びましょう。

ノルマや締切が厳しい職場では、焦りから仕事が思うように進まなかったり、プレッシャーを強く感じやすいです。

さらに、納期に間に合わせるために長時間働くことが続くと、心身への負担が大きくなり、状態が悪化するきっかけにもなりかねません。

適応障害は気分の波が出やすく、体調が安定しない日もあるため、日々同じパフォーマンスを求められる仕事は無理が生じやすいでしょう。

無理なく働き続けるには、業務の進行速度やタスク量を柔軟に調整できる職場環境を選ぶことが大切です。

自分のペースで進められる

仕事を無理に頑張りすぎてしまう適応障害の方は、自分のペースで進められる仕事を選びましょう。

適応障害の方は責任感が強く、まじめな性格の方が多いため、多少無理をしてでも仕事をやり遂げようと頑張りすぎてしまう傾向があります。

その結果、体調を崩したり、ストレスをため込んだりして症状が悪化するケースも多いです。

特に自分のミスが周囲に大きな影響を与える業務や、顧客対応で強いプレッシャーがかかる仕事は避けた方が安心です。

自分のペースで取り組める仕事であれば、心の余裕を持ちやすくプライベートとのバランスも取りやすくなります

業務が長時間労働でない

適応障害の方が長く働き続けるためには、長時間労働にならない仕事を選ぶことが大切です。

長時間労働は、代表的なストレス要因のひとつであり、適応障害の悪化を引き起こすきっかけにもなります。

業務量が多く休む暇がなかったり、残業が常態化していると、心身にかかる負担が大きいため注意が必要です。

加えて疲労やストレスが蓄積すると集中力や正確さが低下することで、ミスや事故が起こりやすくなり、さらに労働時間が長くなる悪循環が生まれます。

決められた勤務時間の中で無理なく業務を終えられる環境を選ぶことが重要です。

業務の見通しが立てやすい

業務内容やスケジュール管理にストレスを感じやすい適応障害の方は、業務の見通しが立てやすい仕事を選びましょう。

業務の見通しが立てやすいと、いつまでに何をすべきなのかハッキリするため、作業の進め方やペース配分を自分なりに調整できます。

進行に問題があった場合でも、早めに期日の相談がしやすいメリットもあります。

また、やるべきことが明確になることで「ここまでクリアすれば大丈夫」という指標ができ、余計な不安を抱えにくくなるでしょう。

明確な指標がある仕事は、心に余裕を持って働き続けるための大きな支えになります。

適応障害の人に向いている仕事・働き方5選

適応障害のある方に向いている仕事や働き方を5つ紹介します。

適応障害のある方が安心して働くためには、自分に合った仕事や働き方を知ることが重要です。

働き方が合っていないと、心身への負担が大きくなり、継続して働くことが難しくなる場合もあります。

それぞれの働き方でおすすめな職業も紹介しているので、ぜひ仕事選びの参考にしてください。

①テレワーク

適応障害のある方には、通勤などのストレスが軽減されるテレワークの仕事が向いています。

テレワークとは、リモートワークや在宅勤務とも呼び、自宅など会社以外の場所で業務を行う働き方のことです。

通勤の負担がなく、満員電車や人混みからのストレスを避けられるため、体調の波に合わせて働きやすいメリットがあります。

テレワークの職業例
  • エンジニア
  • WEBデザイナー
  • 一般事務・庶務
  • マーケティングリサーチ・分析
    など

実際にテレワークで働ける職種は、パソコンを使った業務が中心のため、過度な人間関係の付き合いも必要ありません。

自宅で静かな作業環境を整えやすく、周囲に気を遣わずに自分のペースで業務に集中できます。

適応障害の症状と付き合いながら働けるテレワークは、無理のない就労を目指すうえでおすすめの働き方です。

②業務がマニュアル化されている仕事

適応障害のある方には、業務がマニュアル化されている仕事が向いています。

マニュアルに沿って進める仕事は、手順や判断基準が明確で、次に何をすれば良いかがわかりやすいため、精神的な負担が軽減されやすいのが特徴です。

業務内容があらかじめ決められていることで、作業のばらつきが減り、品質の均一化にもつながります。

ミスを防ぎやすく、効率的に作業が進められる点もメリットです。

業務がマニュアル化されている職業例
  • 事務職
  • 清掃員
  • 警備員
  • 営業サポート事務
  • 工場の作業スタッフ
    など

上記の仕事に共通するのは、作業手順や対応があらかじめ決められているため、突発的な対応が少なく、安定した環境で働けることです。

業務の進め方が視覚化されている場合、進捗の把握がしやすくなり、自分の状況を見ながら無理のない働き方ができます。

業務内容もマニュアルを使って教えてもらえるため、学びやすい環境が整っていることも魅力です。

③専門性の高い仕事

適応障害のある方には、自分の得意分野に集中できる専門性の高い仕事が向いています。

特定の知識やスキルを活かして取り組めるので、資格や経験が活用される場面が多いです。

専門性の高い仕事は、自分の得意分野に集中できるため、精神的な負担が少なく自信を持って取り組みやすいメリットがあります。

また、市場価値が高く長期的なキャリア形成にも繋がる点も特徴です。

専門性の高い職業例
  • 校正者
  • 翻訳家
  • 税理士
  • 図書館司書
    など

上記の仕事に共通するのは、落ち着いた環境で集中して業務に取り組める点と、個人のスキルを活かして成果を出せる点です。

人間関係によるストレスを最小限にしながら、安定して働くことを目指せます。

④フレックスタイム制が導入されている仕事

適応障害のある方には、体調に合わせて柔軟に働けるフレックスタイム制が導入されている仕事が向いています。

フレックスタイム制とは、あらかじめ決められた期間内で総労働時間を満たせば、始業・終業時間を自分で自由に設定できる制度です。

体調や気分に波が出やすい方でも、調子の良い時間帯を選んで働けるため、無理のないスケジュールを組みやすいという特徴があります。

さらに通勤ラッシュを避けられることや、心身の安定と生活リズムを両立しやすいため、長く働き続けやすい環境であることもメリットです。

フレックスタイム制が導入されている職業例
  • 企画職
  • 事務職
  • デザイナー
  • エンジニア
  • プログラマー
    など

上記の仕事に共通しているのは、成果やアウトプットが重視されるため、時間の使い方に柔軟性があり自分のペースで業務に取り組みやすい点です。

環境に縛られずに働けることで、日々の不安を軽くしながら安定した就労を目指せます。

⑤フリーランス

適応障害のある方には、働き方や業務量を調整できるフリーランスが向いています。

フリーランスとは、企業や組織に属さずに個人で仕事を請け負って収入を得る働き方です。

個人の能力は求められるものの、働く時間や場所を自分で決められるため、体調や生活リズムに合わせた自由度の高い働き方ができます。

また、成果に応じて報酬が得られる仕事も多く、自分のスキルを活かして収入アップを目指すことも可能です。

フリーランスの職業例
  • ライター
  • イラストレーター
  • ハンドメイド作家
  • エンジニア
    など

適応障害の人に向いていない仕事は?

適応障害のある方には、ストレスを強く感じる仕事や、環境変化が激しい働き方は向いていません。

主に向いていない職業は、以下の通りです。

向いていない職業の例
  • 医療・介護
  • 営業・接客業
  • 教育・学習支援
  • 運輸業・郵便業
  • 宿泊業・飲食などのサービス業
  • コールセンターなど対人のスタッフ業
    など

上記の職種に共通しているのは「少しの失敗が大きな問題になりやすい」「人と関わる機会が多い」「緊急対応や長時間労働が多い」といった特徴です。

例えば、医療や教育の現場など人の命や将来に関わる責任が求められます。

宿泊業や飲食業では接客トラブルや突発的な対応も多く、精神的な負担が大きくなりやすいです。

適応障害と向き合いながら働くには、自分の心身の状態に合った働き方を選ぶことが大切です。

人の入れ替わりが少ない職場や、無理のない業務量を確保できる環境を優先しましょう。

適応障害の人が転職・就職する際にやった方が良いこと

適応障害のある方が、自分に合った職場や働き方を見つけるためにやった方が良いことを紹介します。

上記を意識しておくことで、就職後のミスマッチやストレスを減らし、働き続けるための仕事探しがしやすくなります。

自分が何にストレスを感じやすいか考える

自分に合った職場や働き方を見つけるには、自分が何にストレスを感じやすいか考えることが大切です。

適応障害は、環境の変化や日常の出来事によって生じるストレスにうまく対応できないことで発症する障害です。

そのため、ストレスの原因を明確にすることで、同じような環境を避けたり、自分に合った職場を選ぶための判断材料になります。

まずは今までの経験を振り返り、どんな場面でストレスを感じたのか紙に書き出し整理してみましょう。

感じたことを可視化することで、頭の中だけでは見落としていた考えや感情に気づくことができ、自分を客観的に捉えやすくなります。

障害者雇用枠で働く選択肢を検討してみる

障害者雇用枠で働くことも視野に入れると、自分に合った職場や働き方を見つける際の選択肢が広がります。

障害への理解がある企業で働けるメリットがあり、入社前から自身の状態について配慮がされているため、無理なく働きやすいです。

ただし、障害者雇用で働くには障害者手帳が必要なので注意しましょう。

適応障害は一時的な症状であることも多く、手帳の取得が難しい場合もありますが、他の精神疾患を併発しているケースでは取得できる可能性があります。

申請の可否は医師の診断が基準となるため、まずは主治医に相談してみましょう。

障害のある方向けの就労支援制度を活用する

一人で転職・就職活動を始める前に、障害のある方向けの就労支援制度の活用を検討してみましょう。

就労支援制度とは、精神障害・身体障害のある方や、年齢・生活環境などの理由で働くことが難しい方を対象に、就職や社会復帰をサポートするサービスです。

就労に必要なスキルを身につけるための訓練や、求人紹介、履歴書の書き方など、幅広い支援を受けられます。

就労支援制度サービスの例
  • アビリティーズジャスコ
  • リエンゲージメント
  • LITALICOワークス
  • ミラトレ
  • welbe

例えば「アビリティーズジャスコ」では、ご利用者さま一人ひとりに合わせた個別の支援プランを提案しています。

ビジネスマナーやパソコン操作など実践的なプログラムは20〜30項目にわたり、履歴書作成や面接訓練までサポートします。

日数や時間を調整して訓練に参加可能で、無料相談や体験から始めることもできます。

適応障害の人が長く働ける職場を選ぶ際のポイント

適応障害の人が長く働き続けるには、自分がストレスを感じやすい環境を避けられる職場選びがポイントです。

下記のように、ストレスを感じやすい環境から向いている働き方を考えてみましょう。

ストレスの要因向いている働き方や職場
人が多い環境が苦手・リモートワーク
体調が変化しやすい・フレックスタイム制
通勤が負担になっている・リモートワーク
・フレックスタイム制
長時間労働がつらい・マニュアル化された仕事
・フリーランス
デスクワークが苦手・デスクワーク以外の専門性の高い仕事
※農業・工場作業・調理補助など
・マニュアル化された仕事
※商品の品出し、清掃など

何に負担を感じやすいかを把握しておくと、自分に合った働き方や職場環境が見つかりやすくなります。

働きやすさは人によって異なるため、自分が無理なく続けられる環境を見極めるためには、過去の経験を振り返りましょう。

自分にとって安心できる働き方を整理しておくことが重要です。

適応障害のある方が利用できる就労支援制度4選

適応障害のある方が利用できる就労支援制度を4つ紹介します。

就労支援制度を利用することで、自分に合った働き方を一緒に考えながら、無理のないステップで就職や転職活動を進められます。

自分では気づかなかった選択肢や可能性を知るきっかけにもなるため、使える支援はぜひ活用しましょう。

それぞれの制度について詳しく解説します。

就労移行支援事業所

就労移行支援事業所とは、障害のある方が一般就労に向けた準備をするための通所型の福祉サービス(※)です。
※参考:厚生労働省

適応障害のある方でも、働く力を身につけるための訓練や就労サポートが受けられます。

働くことが難しい方が必要なスキルを身につけることを目的としており、心身の安定を図りながら準備をしたい方に向いている支援です。

例えば、アビリティーズジャスコでは、以下の流れで就労支援を行っています。

  1. 「ご希望」や「お困りごと」のご相談
  2. 利用体験
  3. 福祉サービス受給手続き
  4. 支援プランのご提案
  5. 就労訓練企業実習(就職活動)
  6. 入社後のアフターフォロー(定着支援6ヶ月間)

現在、アビリティーズジャスコの就労支援プログラムの体験会を無料で実施中です!

「1日だけ体験してから検討したい」「午前が調子良いので午前のみ5日間体験してみたい」など、ご自身の状況や体調に合わせてご体験いただけます。

体験を通して自分では気付かなかった長所を見つけることができ、働き方の選択肢の幅が広がるでしょう。

以下では、アビリティーズジャスコの就労事例を公開しているので、ぜひ参考にしてくださいね。

地域障害者職業センター

地域障害者職業センターとは、障害のある方に対して職業リハビリテーションを提供する公的機関(※)です。
※参考:厚生労働省

全国の都道府県に1箇所ずつ設置されており、厚生労働省が定めた研修や試験を修了した専門スタッフが個別の状況に応じた支援を実施しています。

また、ハローワークとも連携しており、職業紹介や職場定着支援など、就職活動全体をサポートしてもらえるのが大きな特徴です。

障害者就業・生活支援センター

障害者就業・生活支援センターは、就労と生活の両面からサポートする機関(※)です。
※参考:厚生労働省

就労面では、職業スキルの確認や履歴書作成・面接準備の支援を行い、ハローワークなどの支援機関と連携しながら職場探しをサポートします。

必要に応じて、就労移行支援事業所の紹介や、就職後の職場訪問、ジョブコーチの派遣なども行われます。

生活面では、健康管理の支援や、障害年金の申請、福祉サービスの手続きについての相談が可能です。

ハローワーク(公共職業安定所)

ハローワークとは、厚生労働省が運営する誰でも無料で利用できる雇用サービス機関(※)です。
※参考:厚生労働省

障害のある方向けに、専門窓口での相談対応や、必要に応じた支援機関との連携も行われており、自分に合った仕事探しを進めるサポート体制が整っています。

履歴書の書き方や面接対策についてもアドバイスを受けられるため、初めての就職・転職活動でも安心です。

適応障害の人に向いている仕事選びは自分の分析が重要

この記事では、適応障害に向いている仕事について解説しました。

長く働ける仕事を見つけるためにも、どのような環境でストレスを感じやすいのか、どのような働き方をしたくないのか整理しましょう。

自分の棚卸しを行うことで、自分に合った仕事や働き方が冷静に分析でき、無理なく長く働き続けられる職場と出会える可能性が高まります。

以下のような支援機関では、適応障害のある方が自分に合った働き方を見つけるサポートが受けられるため、活用してみましょう。

支援機関名特徴
就労移行支援事業所・一般就労に向けたスキルや社会性を身につける通所型サービス
・生活リズムや自己管理力の安定を支援
地域障害者職業センター・専門スタッフによる職業リハビリテーションを実施
・ハローワークや企業と連携して支援を行う
障害者就業・生活支援センター・就労と生活の両面から支援を受けられる
・職場定着や生活基盤の安定に向けたサポートあり
ハローワーク・職業紹介や職業訓練などの支援を無料で提供
・障害者専門窓口での相談や求人検索が可能

何から始めれば良いのか分からない方は、まずはアビリティーズジャスコへご相談ください。

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