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2016.04.08
7か月です。
①障害種別、障害程度は?
精神障害で手帳の等級は2級です。
②発症時期は?
うつ病の症状で精神科を受診したのは23歳の時ですが、 今振り返ると統合失調感情障害の体感幻覚の症状はその2年前からあらわれていました。
③現在の症状や状況は?
症状はかなり安定しており、現在体感幻覚の症状はほぼない状態です。 ただ、気になっているのにはっきりと予定や詳細がわからない事や不安な事があると 自宅で過ごしている時や休日もそれが頭から離れなくなってしまったり 眠れなくなってしまう事がまだあります。 高い音(叫び声や物の摩擦で起こる音)が頭に強く響いて具合が悪くなる事もあります。
精神障害というと心の中の葛藤だけの障害というイメージがあるかも知れませんが、甲高い叫び声やキーッという物の摩擦の音で目眩や貧血のような症状が出てしまい外出の途中で車内に引き返せざるをえなくなったり、ストレスから食べ過ぎる方にも食べられない方にも食欲がコントロールできなくなって胃腸を壊したり体力がなくなってしまったり、強い焦りの気持ちから呼吸が上手くできなくなったり、慣れない場に行き緊張した後に激しい頭痛や発熱、吐き気の症状が出たりというような毎日ほんの些細なきっかけで入れ代わり立ち代わり様々な形であらわれる身体的な症状に翻弄される悩みも実は数多くあります。
そのような症状と鬱や統合失調の精神面での症状もあり、社会に出て精神障害のない方と同じフィールドで迷惑をかけずにやっていくのはなかなか容易ではないという事を長い治療期間の中でさんざん痛感しているのに「動く事や話す事を制限されるような障害はないのに何もやらない人」というような事を直接的に言われたり遠回しに言われたりするのは、目に見えない障害なのでやむを得ない部分があると分かっていても傷ついてしまいます。
反対にとても気を遣っての事とは思いますが幼児に接するような口調で話しかけられたり自分が見た、聞いたと話した内容が事実ではなく妄想だと判断されてしまったり、普通の人と同じように振る舞っていたつもりでも言葉の受け取り方に大きく差が出てしまっていたりと常に健常者と障害者の区別のはざまで定まらない自分の立場を周囲にわかってもらえるように上手く説明する事ができない苦労を感じています。
治療に要した年数が10年以上と長かった為「自分に1時間以上集中して続けられる作業がひとつでもあるのだろうか?」というところからのスタートだったので、自分にもこんな事ができるんだという発見がある度に喜びを感じています。その積み重ねで通所前とは比べ物にならない程できる事が増えたのでそれが着実に自信の幅を広げていく事に繋がっていると思います。
コミュニケーション面では支援員の皆さんや売場で働く皆さんがとても気さくで優しくて、誰に質問をしても親切に教えて下さるので通所し始めた頃はそれに対して「ありがとうございます!」と、お礼を言う事自体が嬉しくて嬉しくて仕方がなかったです。毎日こんなにありがとうと言える事、人に感謝できる事が沢山あるってなんて幸せな環境なんだろうと感じていました。この気持ちをいつまでも大切にしたいと思うようになった事が、今もずっとコミュニケーションを取る上での大きな基盤となっています。
皆さんがいつも気持ちよく接客のお仕事をされているので、自分もこんな風に気持ちでお仕事ができるようになりたいと明るく楽しく取り組むよう心掛けていく中で毎日少しずつ会話ができたり笑いあったりできるようになってきた部分にも強くやりがいを覚えています。
家族や友達としてではなく、実際に社会に出ている方と仕事を通してコミュニケーションが取れる場がある事は社会経験の殆どない自分にはとても貴重な機会です。
開所から半年が経過し今は共に訓練を受ける仲間との会話と情報交換ができるようになり、その中で同じ障害者としての悩みを話して共感し合ったり自分と違う障害を持っている方との理解を深めていく事にもやりがいを感じています。新しく入った方とお話ができるようになった時や仕事をできるようになった瞬間を見守り、その場に立ち会える楽しさも新鮮で嬉しく、先輩として助けるつもりがとても支えられていた事に気づいた時もまた喜びが大きいです。
一人暮らしをするという意味でも、経済面でも、精神面でも自立する事が目標です。完全に誰にも迷惑をかけずに生きる事はできなくても、せめて上手くいかない事があっても誰のせいにもしないで、自分のせいにもし過ぎないで生きていけるようになりたいと思っています。自分のせいにし過ぎてパンクすると結局誰かに大きな迷惑をかけてしまうので。
訓練での目標としては、人に意見を伝えたり質問をする技術を整えて話し合っている内に衝突してしまう事や困ったときにとっさに質問を切り出す事が出来ないという状況を回避できるようにしたいです。それから、あらゆる作業を時間内に意識して終わらせる事ができるよう、限られた時間の感覚を身につけていけたらと思います。
まだ何も具体的ではない遠い未来の夢としては、就労移行の支援の輪がいつまでも廻り続け、繋がり続ける事ができるように、どんなに小さな事でも良いから支えになれるような活動をする事が夢で目標です。
今ここの利用を検討されている方の中には外の世界そのものに対する不安や他の人と交わりながら仕事をする事への不安から踏み出そうか迷っている人も多くいらっしゃるのではないかと思います。
また、私のように年齢が差し迫ってから自分の為に訓練の時間を長く取る事に躊躇してしまう方もいらっしゃるかもしれません。
そういう方にこそ1度体験に来てみて欲しいと思います。
スクラムで7か月間訓練を受けてきた自分がしみじみ感じた事は「1人でやる作業にしろ、自分の為の時間にしろ、自分1人で完結する事は決してない」 という事でした。
私は自分の為に生きるという事や自分を大切にするという感覚がとても稀薄で、どうしたらそのように生きられるのか見当もつきませんでした。人と協力しながら作業を進めるような仕事にあまり就きたくないと思っていました。
スクラムの訓練ではみんなで分担し、自分がやった作業を引き継いでもらってようやく完成する仕事もあります。その作業の殆どを私は始めなかなかスムーズに行う事ができませんでしたが、何度もアドバイスをいただきながら自分のペースで覚えていく内に「時間内に終わらせる事ができましたね!」「早くなりましたね!」と言っていただけるようになり、いつしか自分のせいで作業が滞るのではないかという不安よりも協力して仕事を完成させる楽しさの方が勝っていました。
こうして身についたという自信を持たせてもらった作業を今度は反対に自分1人に任された時も、不安なく集中して行えるようになっていました。自分1人でもできるという実感は人の支えと信頼感の積み重ねがあって初めて得られるものだったのです。
自分の為にという感覚もまた、いくら自分の中で考えても生まれてこないものでした。訓練を通して信頼できるたくさんの人に出会い、その人達に喜ばれたいと思い訓練も資格の勉強もがむしゃらに頑張るようになりましたが、結局それらは全て自分に成長の形として返って来る事となり、いつしか自分の為の時間を精一杯生きていたんだという事実に気付き驚いたという事もありました。
自分を大切にする事を放棄しそうになる時にブレーキをかけてくれるのもこうして築かれてきた信頼のおける人・場所の存在でした。きっと、自分を生きるという事を考える上で他者との関係は常に表裏一体で、より良いものへと磨き上げていく過程で欠かす事のできない存在なのだと思います。それを今まさに学びつつあるところです。
誰に笑われる事もなく、温かく見守られながら自分と向き合えるチャンスが必ずあるからまだ全てを捨てなくて良いんだよ、大丈夫だよと、過去の自分に言ってあげたいと同時に今現在、かつての私と同じように不安でいっぱいで悩んでいる方にもお伝えしたいです。
個人的には支援員の方や私のような利用者に、通所を続けてみてどんな感じなのかを聞いてみたい、またこのような悩みや不安を持っていると話してみたいという目的で来てみるというのも良いのではないかなと思っています。
2か月ほど前、通所して行く中で障害者としての悩みにぶつかった時に実際に障害をもって売場で働いている方が相談にのってアドバイスを下さり、思いが定まって前向きになる事ができたという出来事がありました。
こんな機会が得られる環境などそうそう当たり前にあるものではない、もっと貪欲に売場の方からも学び取っていかなくてはと改めて強く思いました。このような強く知りたいという気持ちが何よりも自分を動かす原動力になると思います。興味がありながら強い不安で悩み、迷っている。そんな時こそ、ぜひ思い切って一歩踏み出してみて欲しいです。